●たけちゃん
私の名前はおおかわら たけゆき
でも友人や同僚からは‘GON’と言われている。
ただ家族や近所の子、親戚にはよくある
‘たけちゃん!’
って呼ばれる。
群馬のばあちゃんちには俺のおじさん家族が住んでいて、俺のいとこはもう子供が2人もいる。
7才と5才の遊び盛り。
今回もばあちゃんちに入って顔を合わすと、
‘おい、何しにきたん?’
5才が俺に蹴りをくれる。
‘なまいき~、礼儀をおしえてやる~!’
と思いながらも、そこは34才、本気になっちゃだめ、だめ。
ご飯食べてたら2人で近づいてきて
‘ねー あそぼ!’
と来た。
結局お絵かきをする事になった。
‘魚かいてみ? へびは? ’
俺が描く絵を見ながら二人の態度が変わっていく。
‘すげー、たけちゃんうめ~、 幼稚園に持ってって、友達にみせよ~’ 5才が尊敬のまなざしで俺を見始めた。
‘あったりまえよ! おめ~、 こっちは大学美術専攻よ!’
なんて7才と5才に言ったってしょうがないのはわかっている。
だって俺34才だもん。
そのうち5才が何かを持ってきて、俺の背中に飛びつく。
‘ね~、ね~たけちゃん、これ描ける? 虫キング。
ほら、いっぱいいるでしょ? 難しい? これがヘラクレスオオカブトでね、これが...’
アルバムの中には100枚以上のかぶとむしやクワガタのカードが入っている。 これが泣く子も黙る虫キングだ!
その中からリクエストのあったかぶとむしを何匹か描いてみた。
‘うっめ~、 すげ~、 ねぇ じゃ、これは? 描ける?’
俺はサルのボスになったような気がした。 暴れん坊猿たちを手馴らせたような。
今度合った時はもう蹴りは飛んでこないだろう。
なぜなら俺はすごいたけちゃんだから。
このまま行くとほんと‘寅さん’見たいになっちゃうかも、
俺。
なぁ さくら?